2019年10月20日 ワークショップ第二回 その3

  • ミズアオイ属種子」が一つ、見つかりました。悩ましい大きさと形です。コナギにしてはわずかに大きく、ミズアオイにしてはやや小さめです。どちらかと言えば、形はコナギ的ですが、ミズアオイ種子にもこのような形はあります。(バックは1mm方眼)
  • いずれにせよ、2060年前の種子だとしたら、間違いなく除草剤感受性のタネです。


  • 最後に除草剤抵抗性についての比色試験の結果です。まだ部分的な報告です。
  • 左側のチューブが除草剤を加えない場合で、これは必ず赤く発色します。右側のチューブが除草剤を加えた場合で、感受性ならば無色、抵抗性ならば赤く発色します。
  • せんだい農業園芸センターの南側にある水田のミズアオイです。第一回に参加した皆さんには、 センターを出発してからすぐに、マイクロバスの窓から「右に開花個体が見えます」とご紹介した個体です。両方赤。抵抗性です。


  • 遠藤環境農園近くの農業用水路に生えていたミズアオイ。抵抗性です。

  • 大崎市蕪栗沼近く。齋藤肇さんの無農薬「水葵米」栽培水田のミズアオイ。やや弱い発色ですが、抵抗性です。
  • 県北では、津波直後の復活個体の中に除草剤感受性個体(つまり古いタイプ)が混ざっていました。しかし、除草剤抵抗性の遺伝子(完全優性)が広まり、感受性個体は消えてしまったものと思われます。

  • 最後はコナギです。弥生時代の津波堆積物を観察した場所の南側は、萱場哲男さん(荒井駅南側で農家レストランを経営)の無農薬栽培水田です。そこに生えていたコナギです。抵抗性です。
  • コナギもミズアオイ属です。この花も鏡像二型性を持ち、除草剤抵抗性タイプを生み出した植物です。ミズアオイよりも雑草性が強く、無農薬栽培農家を悩ませています。
  • 一般に古代名「なぎ」(水葱、子葱、菜葱、奈木) はミズアオイを指すと考えられていますが、当時の人々にとってもミズアオイとコナギの区別は難しかったと思います。とくに葉はよく似ています。
  • そして、コナギも食べられていました。「なぎ」をコナギとして、食材としての復活を試みておられるのが呉地正行さん(NGO ラムサール・ネットワーク日本)です。
  • 今回のワークショップでは、最後にミズアオイらしい埋土種子を発見することができました。仙台湾岸の地下には今も多くのタネが埋まっているようです。
  • 津波の度に復活し、再生のシンボルとなる植物ミズアオイ
    災害遺産」としての存在と価値について、ご紹介しました。
 
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